『汝、ふたつの故国に殉ず〜台湾で「英雄」となったある日本人の物語〜』/角田隆将(角川文庫)を読んでみて、湯徳章という人を知ることでさらに台湾に興味を持ち、次に台湾へ行く際は「台南へ行こう!そして歴史に触れる旅がしたい」とおもいました。
実際に彼(湯徳章)がどんなことをしたのか、をここでは『汝、ふたつの故国に殉ず』の本とWIKIPEDIAの情報からざっくりと(あくまで私目線で)伝えたいとおもいます。そして次台南に行った際には湯徳章さんにまつわる場所を訪れてみたいとおもいましたので、そのスポットについても触れさせてください。
台湾が好き。台南が好き。
私は台湾に最初に訪れてから台湾が好きで、それがなぜかって言われても一言では伝えられないのですが、一番は台湾の人かもしれない。台湾に行く度に台湾の人が色々と助けてくれるし、とにかく私たちに優しい。他の国へ旅行に行ってもこれほど親切に対応してくれた国はないとおもいます。
親日で知られている台湾ですが、過去日本が約35年間統治していた歴史がある。それでも台湾人が日本人にこれだけ優しくできるのには、過去にあったいろいろな出来事があって今があるということ。その歴史を少しずつ勉強しようと思い、読んだのがこの一冊『汝、ふたつの故国に殉ず〜台湾で「英雄」となったある日本人の物語〜』です。ずっと気になっていたことがクリアになったような読後感がありました。
湯徳章(台湾名)という人
湯徳章さんで日本名は坂井 德章(1907年〜1947年)は、台湾人の人権を守ることに奮闘し、活躍した台湾の弁護士さん。台南で生まれ、台南で活躍し、台南で亡くなった。。。人生を台南と台湾人に捧げた一人の男性です。日本ではあまり知られていないようですが、台湾では有名人。台南では超超超有名人です。実際に台北に住む台湾の友人も徳章さんのことを知っていました。2001年、台南市は3月13日を「台南市正義與勇気紀念日(=正義と勇気の記念日)」に制定しています。
日本が台湾を統治している時代に台湾人のお母さまと、警察官であった日本人のお父さんのあいだに生まれました。湯徳章が8歳だった1915年、台南の玉井を中心に武装抗日事件が発生し、警察官だったお父さんが殺害されています。(タパニー事件)父と同じ警察官になることを選び台南で警察官になった。その後、台湾女性と結婚し生活をしていくが警察官としては理想と現実の板挟みとなり、警察の職を捨て奥さまと日本へ渡り弁護士の資格を取得します。その後、故郷の台南に戻って弁護士事務所を開き、人道的な立場から社会的弱者のために正義の声を上げたと言われています。
上にある写真は、「湯徳章」で検索すると出てくる、そして本の表紙にもなっている写真ですが、約80年前の写真なのにあまり時代を感じない!そしてめちゃくちゃカッコイイじゃん!という印象を受けました。
台南で見ておきたい、湯徳章スポット
台南は5回ほど行ったことはありますが、湯徳章さんを知ってからはまだ行けていません。この本『汝、ふたつの故国に殉ず』を読んで台南に行きたくなったと同時に、台南で湯徳章さんの聖地巡礼をしたいとおもいました。ここでは彼に関する見ておきたい場所をいくつか挙げていきます。
- 湯徳章紀念公園
- 国立台湾歴史博物館
- 林百貨
湯徳章紀念公園
日本統治期には、地名にちなみ大正公園と呼ばれており、1998年には、二二八事件の際にここで湯徳章さんが公開処刑されて亡くなった場所。その後、湯徳章紀念公園と名付けられます。2018年には台南市長のアツい想いから湯徳章さんの胸像が建立されています。まさにここが湯徳章さんが叫んで台湾人と日本人という立場で台湾人を守って亡くなっていった場所。彼を象徴する場所です。
国立台湾歴史博物館
「台湾をめぐる対外関係」、「台湾における各エスニックグループの関係」、「台湾の近代化」を三大テーマとして掲げている博物館。そこでは日本による植民地統治支配をしていた当時の様子を学ぶことができます。人気のアトラクションでは、復元された植民地時代の電車車両に乗ると、実際に電車に乗ったように動き、現在から出発してどんどんタイムスリップしていく映像が車窓のスクリーンに流されるとのこと!
林百貨
約90年前の空間を忠実に蘇らせた、レトロ・リノベーション(改修)の建物です。1932年、台南の銀座といわれた末広町に建てられたこのビルは、鉄筋コンクリート造で5階建てという、当時の最先端で話題になりました。台湾南部では初めて導入されたエレベータも人気で、利用を待つ人の行列が出来ていたほど。『汝、ふたつの故国に殉ず』のなかでも度々登場していたのがここ。「もう林百貨のエレベーターには乗った?」が挨拶になっていたくらい当時では最先端で憧れでもあった百貨店だったそうです。湯徳章さんが日本から台南に戻り、弁護士事務所を構えたのもここ林百貨のすぐ近くだったとか。そのときに林百貨で事務所に置く机を買ったらしい♪
台南という場所♪
台南は台北から台湾の南部に位置する都市です。台北駅からは高鉄という新幹線で約1時間50分。台北から電車で約3時間、高速バスだと約4時間30分で行くことができます。
かつては台湾の首都でもあり台湾でも歴史のある場所です。日本でいうと「京都」のような場所なのではないかなという印象です。THE都会な台北と比べると、ゆっくりな印象。建物も台北101のような高いビルがあるわけではなく、昔ながらな建造物とモダンな建造物が混ざってるような場所です。MRTがあるわけではないので、旅行として行くなら交通がすこし不便ではあります。自転車やタクシーを使って移動します。(現地の人はバイクか車がメイン)
台南は台北に比べると気温はすこし暑い。そして食べ物の味付けはやや甘め。物価はすこし安いような感覚があります。私は社会人になりたての頃は台南が好きで、4年くらい連続で夏休みや冬休みの1週間を使って台南に足しげく通っていました。のんびりした雰囲気や気候、たべもの、人が好きで、とにかく魅せられていました。そんなに通っていても湯徳章さんのことを知らなかった、、、。
湯徳章さんを知って歴史を学ぶ
今回この一冊から湯徳章さんを知ることができ、私の中にある台湾がさらに肉付けされました。この湯徳章さんがあっていまの自分がいる、というのは少し大げさかもしれないけれど彼がいたからこそ今の台湾があり、台湾の人が新日になっている部分はあるとおもう。
日本と台湾をルーツに持ちながら戦時中、戦後を目一杯生き抜いた。それも台湾人の人権を守るためにただならぬ努力をし、勉強をし続けていた。自分の目標を達成し、夢を叶えているのがヒーローでしかない。夢を叶えた数年後に亡くなってしまいますが、この人の成し遂げた人生が濃すぎる。
この本を読むと、自分もなにかしたい、しなくてはいけない、と生きていることに対しても考えさせられドキドキが止まらなかったです。恥ずかしながら今まで歴史を感じながら台湾に行ったことがなかったですが、次はちがう歴史視点からの台南を見にいってみようと思います。
読んでいただきありがとうございました。
↓の「台湾のトリセツ」も最近読んでいますが、台湾の歴史が学べてとっても面白いです。これを読むと先住民族や他の目線からまた台湾に行きたくなります♡
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